一汁一菜で自由になろう

ライフ&マネー

一汁三菜はとても大変

家事と育児をしているとき何が一番つらいってご飯を作ること。子供への栄養バランスを考えたり、料理することがそもそも頭を使って考える作業です。それに加え、テーブルの前にご飯を並べる、終わったら片づけ皿を洗う、冷蔵庫の食材を切らさないように管理する、あぁ明日は買い出しに行かなきゃ、と食事を提供する作業は本当に大変なものです。

さらに私たちはまともな夕飯は「一汁三菜が必要」と頭に刷り込まれている。一汁は味噌汁またはスープ、三菜にはメインディッシュとなる肉か魚の主菜、野菜などを盛り込んだサラダ類、煮物の小鉢などで副菜を二つそろえろと。普段育児で時間を取られているのにとんでもない負担です。できっこありません。

料理研究家土井善晴さんの書いた「一汁一菜でよいという提案」には、一汁三菜の考えを捨て、シンプルな生活と和食に戻ることが勧められています。

一汁一菜でよいと気づき自由になろう

結論を先に。毎食一汁三菜を揃えろという考えは不毛です。それを捨て一汁一菜で生活リズムを取り戻し、親も子も笑顔になりましょう。

具沢山のお味噌汁はおかずとなる

土井先生の本で目から鱗が落ちました。一汁一菜でよいのです。昔から日本人はそうしてきたので。一汁とは具沢山の味噌汁のことです。一菜とは漬物などのことで、これ無くてもいいんです。つまり具沢山の味噌汁だけでいいんです。

常日ごろ夕食を用意するとき「今日のメインは何にしようかな・・・」と必死で考えていませんか。さらにそうして一生懸命作った主菜を、家族は誰も特にほめてくれない。ひどいときは子供が残す。食事を作ったお母さんのストレスは頂点です。お父さんがしぶしぶお皿を洗ってくれたとしても、楽しい食事の時間ではありませんよね。

もういいんです。メインは何かなどと考えなくてよい。具材があればすべて味噌汁に入れて具沢山の味噌汁にします。スーパー出来合いの唐揚げや餃子の残り、葉物、卵、何かのお肉、あれば豆腐、カット済みで売られている厚揚げ、パックの小魚など、栄養になりそうな食材を味噌汁に入れて、これがおかずです。これだけであとはご飯と食べてもらいます。

いいんです。土井先生がそれで良いとおっしゃってるんだから。江戸時代から日本人はそうしてきたんだから。二宮尊徳も借金漬けの武家に、汁とご飯のみを指示しました。それで返しました。

ご飯と味噌汁以外のおかずがあること自体、御馳走なのです。日本人が主菜にハンバーグを作ろう、エビフライを作ろう、と始めたのは1956年のフライパン運動が始まってからになります。それ以前は一汁一菜で良かったのです。古きに戻りましょう。それでいいのだから。

味噌は偉大なり

味噌は偉大です。塩を溶いても塩汁とは言いません。つゆを溶いてもつゆ汁とは言いません。でも具材は何でも味噌を溶けば味噌汁と言います。味噌にはすべての具材を包み込む偉大な力があります。

味噌は日本発祥の発酵食品で、まさに日本の宝です。もやしもんの第7巻にも詳しく解説されています。

味噌は昔から栄養不足の和食文化にたんぱく・ビタミン・ミネラルをこれでもかと補ってくれた超栄養食だ。

味噌汁を日常的に食すだけで体に良い事が学会でも正式に発表されております。

毎日食べても苦にならず 体に得しかもたらさない 日本の固体発酵の雄 それが味噌。

もやしもん 7巻 石川雅之

おかずを何にしようか、味付けをどうしようか、悩まなくて良いのです。栄養ありそうなものを片手鍋に入れて、あとはすべてを調和してくれる偉大な味噌の力に任せましょう。

味噌には殺菌作用もあって何とO-157大腸菌だってやっつけてくれる。山でキノコを採る方も毒予防で味噌に溶いて汁で食べます。

安心して具沢山の味噌汁を家族に食べてもらいます。ストレスが減り、お皿が減り、お母さんと子供は自由になります。

季節の食材があれば、それを味噌汁に入れれば良い。それだけで季節を感じ、自然を感じ、家族みんなで笑顔になることができます。

神聖な和食の三角形

一汁一菜がそろったら、つまりご飯と味噌汁だけでいいのでできたら、子供の前に、ご飯を左、味噌汁を右、箸を手前にそろえてやります。下の図のように子供の前にピラミッドのような三角形の形ができる。これを神聖なものと考えます。和食は、自然の恵みを命を、自分の中にいただくという思想です。そのため食事とは儀式であり「いただきます」で始まり、「ごちそうさまでした」で終わります。食事の時におばあちゃんが、背筋を伸ばしなさい、鼻歌を歌っちゃダメ、と叱るのはこのためです。

わが家では、この神聖な三角形にさらに重みをもたせるべく、中古の丸盆を買い、それを子供に出してあげることにしました。盆があると、箸置きを用意しなくてもお箸をひっかけて置けます。そしてテーブルの周りのもの、ティッシュ箱やTVリモコンなどとも領域が区別され、神聖な三角形がさらに神聖な領域になります。この結界に入るときが「いただきます」、出るときが「ごちそうさま」なのです。命をいただきましたという和食の思想がこれで営まれています。

子育てに必要なこと

一汁一菜でご飯を家の中で気軽に作れるようになると親は楽に子供にご飯をあげられます。メインのおかずを四苦八苦考えないぶん心理的にだいぶ楽なのです。

親というものは料理すること以外にも、食事の時に子供に一生懸命世話を焼いています。子供の前にご飯を並べ、声をかけ、終わったら片付け、皿を洗います。冷蔵庫の中も日々管理しています。子供にとって食事を与えられることとは、“この家にいてもいいんだよ”と言ってもらっていることと等しいのです。

親子ゲンカをしたときも、親から食事をあげることで仲直りしていくことができます。

手作りの食事を子供に与えてあげる意義はとても大きい。

子育てハッピーアドバイスの中にも食事の影響について書かれていました。

— 保育園で過ごす時間の長さは子どもの発達にほとんど影響せず、家族で食事をしているかどうかが、子どもの発達を左右する —

厚生労働省の研究班が平成16年5月に発表した興味深い研究結果です。

夜間保育園を利用している185人の子どもを調査した結果、保育時間の長さによる差はありませんでした。一方家族で食事をする機会がめったにない子どもは、対人技術の発達が後れるリスクが70倍、理解度が後れるリスクは44倍高いという結果が出ました。

子育てハッピーアドバイス 明橋大二

親子で一緒に食事をすることが幸せの基本なのです。

一汁一菜で気軽に、いつでも我が子と一緒にダイニングで食事を一緒にしましょう。そこでいっぱいお話しをしましょう。

急いでいるときも!ファースト味噌汁

食事を自分一人にだけ用意するときも、マクドナルドにしますか、コンビニのサンドイッチにしますか?ファーストフードは手軽ですが絶対に毎日は続きません。体が毎日求めるのは、ご飯・味噌汁・漬け物です。

急いでいるときも味噌汁は簡単に作ることができ、ご飯を盛れば一食できます。

ある急いでいる日の私の味噌汁です。パックの鰹節に卵、カット済み厚揚げ、とろろをひとつかみいれて、小スプーンに味噌を適量。

そこに熱湯を注いで混ぜるだけ!

ほらもう。これでいいじゃないですか。ご飯をおいしくいただけますよ。

漬け物がなくてご飯に塩気がなければ、さらに少量の味噌をご飯につけて食べればいいんです。マックにもコンビニにも行く必要なし!買い足しの食費はゼロです。

これで実は無駄なカロリーは取らず体に良いものだけを取り込んでいます。シンプルな食生活にしてから、人間ドックの診察医師に節制をほめていただきました。

まとめに

土井先生の「一汁一菜でよいという提案」には、和食文化の本来の意味、季節の取り込み方、日本の歴史など深いことがたくさん書かれています。土井先生が作った本当に自分達用の具沢山味噌汁がどれも美味しそうなこと。さらに飾り気がなく、まさに日常の用をなしています。

育児、家事、食事でお疲れのお母さん、お父さんにぜひともお勧めです。

Amazonレビューもめちゃくちゃ評価高いです。自分らしい生活を楽しみましょう。

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